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JAFの趣味なページ

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B-52ストラトフォートレス



B-52H
B-52ストラトフォートレス(Stratofortress 成層圏要塞)

初期型の初飛行から既に52年、現用型の初飛行からも44年が経つ(2005年時点で)長寿な大型爆撃機です。

もともとB-52は1946年に設計された、ボーイングのターボプロップエンジン6基を搭載した直線翼爆撃機だったのですが、1948年10月に米空軍は設計の見直しを決定、ボーイングが主張していたジェットエンジン搭載を承認して全く新たな爆撃機の設計が開始されました。
この時ボーイングが設計したものがモデル464と呼ばれるもので、後退翼を持つ戦略爆撃機としてB-52の名を受け継いだまま生産が開始されることになりました。
試作型XB-52の初飛行が1952年4月15日でそれに改良を加えた量産型、B-52Bが1955年1月にアメリカ空軍への配備が開始されました。

B-52の主な任務はかの有名なB-29と同じようなもので(というよりも同任務のために改修された)、大量の爆弾を搭載して敵の基地・部隊・都市を焼き払うことです。しかし開発当初は完全な核攻撃専用機で、通常爆弾は搭載できず、ただ水爆2発を搭載して敵領空に侵入し投下して帰る。それが任務でした。幸運なことにこの任務は実際には1回も遂行されることはなく(あったらそれは人類の滅亡を意味します)今日に至っています。水爆2発を搭載してソ連上空までを往復できる航続距離と水爆を搭載するスペースを確保するため機体全体を大型化させ、エンジンもジェットエンジン8基として巨大な推力を得ました。
ベトナム戦争の頃にはICBMの技術が発達して、本来の核攻撃の任務は遅い爆撃機でする必要がなくなり、B-52は専ら大量の爆弾を敵の頭上に降り注ぐ大型爆撃機として運用されるようになりました。そのために通常爆弾が搭載できるように改修が施され、結果的に通常兵器で言えば500ポンド爆弾(Mk.82)ならば爆弾槽・主翼下合計して108発という、常識を超えた量の搭載が可能となりました。現用のB-52Hでは、巡航ミサイル20発の搭載も可能になっています。詳しい数字で表せば最大搭載量は27,216kgとB-29の3倍もの搭載量を誇っています。
航続距離は無給油でも16000kmと長大なもので、空中給油を行えばさらに遠くの目標を攻撃可能です。インド洋にもB-52を運用可能な基地があり、グアムにもB-52の基地があることを考えると、地球上全ての土地がB-52によって爆撃可能といっても良いでしょう。実際にベトナムへはグアムから出撃したB-52が爆撃を行っていました。

現用であるB-52Hは電子機器類としてAN/APQ-166爆撃レーダー、AN/ASQ-151地形回避レーダー、AN/APN-218ドップラーレーダー航法セット、AN/ALQ-151電気工学式視野システム(FLIRとAN/AVQ-22低光量テレビ)が搭載されています。このAN/ASQ-151とAN/ALQ-151を組み合わせて使用することで、低空からの地形追随飛行を行うことが可能となっています。
防御用機器としてはAN/ALE-20フレアディスペンサー(赤外線誘導ミサイル用)、AN/ALE-24チャフディスペンサー(レーダー誘導ミサイル用)、AN/ALQ-122欺瞞妨害装置、AN/ALQ-153後方警戒機器、AN/ALQ-155出力管理システム、AN/ALR-46警戒受信機などが搭載されています。

搭載可能な兵装は、前述のMk82通常爆弾、AGM-86B1C空中発射巡航ミサイルの他に、
・Mk84 2000ポンド爆弾
・AGM-142ハブナップ空対地ミサイル
・AGM-84ハープーン空対艦ミサイル
・GBU-31GPS誘導爆弾(JDAM)
・AGM-154統合スタンドオフ兵器(JSOW)
・GBU-103/104/105風修正弾薬ディスペンサー(WCMD)
・AGM-69短射程攻撃ミサイル(SRAM)
・CBU-52クラスター爆弾
・CBU-58クラスター爆弾
・CBU-71クラスター爆弾
・CBU-87クラスター爆弾
・CBU-89地雷散布クラスター爆弾
・CBU-97/105/108対装甲クラスター爆弾
・Mk60対潜魚雷
・空中散布地雷各種
といったものが搭載可能です。
また固定武装として機尾に、M61A1バルカン砲が搭載されていましたが、現在では火器管制システムが取り外されています。よって使用できません。

B-52の参加した戦争で有名なものといえば、やはりベトナム戦争が挙げられます。この時B-52は空からジャングルに向けて大量の無誘導爆弾をあめあられと投下し絨毯爆撃を行いました。この頃がB-52にとって一番華々しかったころだと言えるでしょう。

次に参加した大きな戦争は湾岸戦争ですが、この時には戦争における民間人の犠牲を考慮するようになったこと(マスコミの報道に限らず、軍自身が攻撃の効率化、人的被害の極限を目指したこともあります)、地対空ミサイルの技術が発達してそれまでミサイルが来なかった高空も攻撃されるようになったことから巡航ミサイルによる長距離からの攻撃を行っていました。ただし砂漠の敵基地などを爆撃する場合は普通に爆弾を使用していたらしいです。後にJDAMと呼ばれるGPS誘導型の爆弾を使用して爆撃を行うようにより精密爆撃が可能となったので、再び爆弾を投下する戦法が使われるようになります。
その威力の程は、湾岸戦争の最中イラク軍に対して多国籍軍が「B-52で爆撃させる」と宣告したところ、一気に大隊クラス(中隊とかだったかも知れません・・・記憶曖昧)で投降してきたという逸話もあり、その爆撃がイラク軍に与えた心理的効果の大きさをうかがわせます。


現在では「爆撃機」という機種自体が古いものになりつつあることもあって、B-52の後継機開発の予定は現在のところありません(B-1,B-2はそれぞれ運用目的が違い、純然たる後継ではありません)から、これからもB-52が使われ続けるのはほぼ間違いないでしょう。実際にアメリカ軍は2040年まで使い続けると発表しています。

スペック
全長:49.05m
全幅:56.39m
全高:12.4m
乾燥重量:85,730kg
全備重量:221.350kg以上
翼面積:371.6平方メートル
最大速度:956km/h
巡航速度:818km/h
実用上昇限度:16,765m
航続距離:16,000km以上
エンジン:プラット&ホイットニーTF33-P-3ターボジェット(75.5kN)8基
機体内燃料搭載量:174,130L



余談ですが、この機体は2001年11月15日、国会の参議院予算委員会での福島瑞穂参院議員の発言「B-52が、実際に艦船から飛び立ち、攻撃をするわけです。」によって軍事好きの間では伝説的存在になりました。
で、実現させるとこれ
なのですが、嘘なので本気にしないでくださいね。


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